2011年1月14日金曜日

阿蘇五岳にあって 5

                      
熱い目頭の低さに全景を五つの色で魅せて中心点にと勢揃いする兆しは編み物に機織りにと急がしそうだ。
飲んだくれの居抜きには、ゆったり心長閑な東の天の果てからぴたり、弓と見間違えさせて射流す放物線で巻きついた羽翼の草千里ヶ浜へと“ぽろり”涙ぐませる心中立ての羅針盤が、近くに聳やかす〝熊本GC・湯の谷コース〟の、なだらかな三番ホール〝馬ヶ背〟までをも射抜いた。
最高峰は左翼の高岳で、熊本は肥後の国の一五九二(ヒゴクニ)メートル。岩波にリアス式海岸ってな根子岳は杵島岳に柔らに差し掛け、中岳火口丘の北東を呑み込んで傍らに寄る楢尾岳が我が山房に睨みを利かす。北方から西へ、右翼へと南の方角から連峰で小躍りした椀盛りのお気に入りにて風狂な男を囲わせ、俵山から夜峰山へと打ち入った露天風呂で湯煙りを立ち昇らせて烏帽子岳から海辺に辿り着くまで波乗りした草千里原の紅紫で言祝ぎに灰白を撒き散らすのは、噴火山の中岳を、おてんと様が差し昇る東の胸乳で抱き抱えているからだ。
中岳火口なのか海抜の楢尾なのか何れにて取り仕切るのかは、主我で差し分ける芯の種々やら、大分県の九重(くじゅう)山群に九州本土最高峰の中岳という同名だが1791メートルがあるからなのかで成り劣るが、その阿蘇五岳を、広義では六町村まぶす火口原な円形劇場の全身を地図には〝阿蘇〟と記し、九百見当への不揃いで季節に柔軟体操する翠巒の外輪へ世間の灯から登り行く九重町(ここのえ)からの山里も含ませて「阿蘇くじゅう国立公園」なる阿蘇地方と、和の観光課は呼び回る。
竜姿へ鎹の飛行船でしゃなりしゃなり、



 阿蘇山は五岳を指して地図に逝き 草千里を射す墓碑銘を産む







(【夏下冬上】のブログに09年10月30日に投稿していた分を移しました)
                                      

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