美しくも白き白い羽が恋愛の神として恥ずかしくも忘れにくいキューピッドの感性的形象みたいに競作した蒼穹に女煌めかせて男さす、一双の妹背(いもせ)に見立て、墓碑銘を刻まれた比翼塚は御山にあった。
「妹に見せたかった 連れてきてあげたかった」
「あなたは妹があんなに好きになった人なのよ」
「連れてきたよ」
碗の米塚でしっとり映えわたる北に赤松やら甘肌を懐だとした樹木が開け、南からは森林まで一直線に駆け上がる。西では広々と明かす放牧の草原に凹凸を可愛く組み合わせてゴルフ場を妻わせたのが、切り取った自然界だ。
列なる林野は擬古だつ浪漫に見誤まらせる地層を円周百二十八キロの山肌で晒す外輪山の尾根を直走るミルクロードへと迫り出す。
八重に樹が立ち栄え、羊へ草で座り込み、鱗ながらも帆船や鯨まで回遊する、大海原とは双子の天つ空であり、有り無し雲には大地も木の葉で波の形容。
(【夏下冬上】のブログに09年10月27日に投稿分を移しました)
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